A「お、うまそーなの食ってんじゃん」
B「げ、見つかった」
A「げ、ってなんだよ」
B「これすっごいレアなんだからね。東京のほうにしか店舗がなくて普段は絶対買えないんだから」
A「レアチーズケーキ?」
B「いやそうなんだけど、そっちの意味じゃなくて」
A「わかってるわかってるって」
B「なによ」
A「あ(口を開ける)」
B「ちょっと、なによ」
A「(口を開けたまま)ひとくち」
B「もー、ぜったい言うと思った。最近言わなくなったと思ったのに」
A「(口を開けたまま)だってめずらしいモン食ってるから」
B「なんて?」
A「(口を開けたまま)めずらしいもの」
B「もー、口閉じる。仮にあげるとしても、ペンギンの餌やりお姉さんじゃないんだから、ほら、自分で食べる」
A「お、くれるの」
B「経験則よ」
A「やり(食べる)」
B「素直に食べさせたほうがアンタは静かになるから」
A「うんめー」
B「前言撤回。やっぱうるさ……あーっ」
A「なんだよ」
B「ひとくち」
A「だからひとくちだろ?」
B「ありえない。でっかい」
A「はあ?」
B「半分くらい食べてるじゃない」
A「ケーキがちっさかったんだよ」
B「むかしはちゃんとひとくちサイズだった」
A「身体もちっさかったんだよ」
B「馬鹿」
A「はぁ? おまえ、俺の成績順位知らねえの」
B「馬鹿図体」
A「身体のデカさは関係ねえだろ」
B「ある。なんでそんな大きくなってんのよ勝手に」
A「成長期だからだろ」
B「私だって成長期よ」
A「じゃあおまえがほら色々食わせてくれるからだろ」
B「最近はなかったじゃない」
A「それはほら、もう育ちきったからほら」
B「お詫び」
A「へ?」
B「ケーキ、買いに行って。まだ物産展やってるから」
A「場所知らねえし」
B「じゃあ私がつれていく」
A「お、おう」
B「土曜日10時、駅前ね」
A「わかった」
B「じゃ、昼休み終わるから」
異性として意識する瞬間を描いたシーン。どこで意識しているのかという点を押さえたうえで演技したい。一例としては「あえてめずらしいものを食べている=最近来なくなって寂しい」という無意識→「むかしはちゃんとひとくちサイズだった」と言葉に出して意識する、といった二段構えでも。男側も「なんか照れくさくてひとくちって言い出せない」という無意識→「最近はなかった」と言われて自覚する、みたいに二段構えなどでも。
それはそれとして台本の背景事実はしっかり読解したい。身体の小さなころから食べさせ合う仲である。
・AはBのことが好き
・AはBのことが嫌いだと自覚した(ケーキは毒入り)
・このケーキはB以外の男子に渡す予定のものだった、あるいは試作品
・BはAのことが好き
・BはAのダイエットのために協力しているつもり
・BはAが別の男子にそのケーキを渡せなかったことを知っている