「別れ話」(洋画)

A・・・・(別れ話を切り出される側)

B・・・・(別れ話を切り出す側)

(場面設定)

喫茶店、ないしファミレスのような場所で一組の男女が向かい合う(隣り合う)形で座っている。


彼女(女)×彼氏(男)

A「ごめんお待たせ。会議が長引いちゃって。(店員に)ブレンドコーヒーをひとつ。それで、話って何?」
B「悪いね。忙しかった?」
A「いいえ大丈夫。20分くらいなら時間とれるから」
B「そう。話っていうのは僕たち二人のことなんだけど」
A「待って。電話だわ。……もしもし。その書類ならデスクの上から3段目の引き出しの中にあったはずです。あ、会場の下見の件、確認を急いでおいてください。それじゃあ。……もう。ごめん、なんだっけ?」
B「あー……、ちょうどコーヒー、来たみたいだよ」
A「(会釈して)すみません。あ、シロップとミルク、もう2つずつお願いします。……ありがとうございます」
B「あのさ」
A「なあに?」
B「別れようと思うんだけど」
A「何が?」
B「何が、って。僕たちのことだよ。僕たちうまくやっていけない気がする。別れよう」
A「冗談でしょ?」
B「冗談なもんか。本気さ」
A「なに? 何か気に入らないところでもあった? 私は別に家のこともおろそかにしてないし、今晩だってあなたが好きなチキンを焼く予定だったのよ? 今朝お腹の中に野菜を詰められて、冷蔵庫の中で今かとローストされるのを待ってる。もちろん人参は入れてない」
B「ああ、君は完璧さ。どこにだって欠点はない」
A「じゃあ何が不満なのよ」
B「完璧すぎるんだ」
A「…………」
B「疲れるんだよ。君といると」
A「疲れるって……あなたには何一つ不自由させてないわ」
B「不自由はなかったよ。でも君といると僕は惨めなんだ」
A「……誰かに何か言われたの?」
B「これは僕の話さ。鍵、返すよ。忙しいのにごめんね。それじゃあ(席を立つ)」
A「あ、ちょっと。……なんなのよ、もう。(電話をかけて)あ、お兄ちゃん。ごめんねいきなり電話かけて。うん、うん、……また振られちゃったあ」

狙い

自分のことを話す 会社の人に話す 恋人に話す 店の人に話す 兄に話す  ……の「相手が変わる」という点で、女性のほうに難易度を置いた台本。コーヒーを受け取る、シロップを混ぜるといった動作もさることながら、どこの時点で本気として捉えるか、怒るのか、呑気なのか、彼のほうを見るのか、というのもポイント。仕事ができる→恋人に振られる→兄に甘える といった推移(変化)も演じどころ。「チキンがローストされるのを待ってる」というのは沙汰を言い渡される自分への比喩(皮肉)でもある。

やり方など

・AはBから振られることにより(兄を利用して)利益を得ようとしている(振られることが想定内)

・Aは陰謀論を信じている

・Aは初恋だった

・Aは兄と(振られることに)賭けている

・BはAが泣きついてくることを信じている

・Bは復讐のためにAと付き合った

・BがAの注意を引いているあいだに、隣接席に掛けた協力者がスリを働こうとしている

・Bは大病を患い、Aのために身を引こうとしている


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