「宝石泥棒」(掛け合い)

A・・・・(探偵)

B・・・・(泥棒)

(場面設定)

宝石が盗まれようとしている。


お嬢様探偵×怪盗

A「現れたわね、怪盗・ホワイトローズ」
B「ええ、予告状はお渡ししましたよね?」
A「まさかノコノコと正面から来るだなんて思ってはいませんでしたけれど」
B「そういうそちらこそ、警備の方々はどうしたんですか?」
A「不要です。あなたを捕らえるのは私の役目です」
B「そんなことを言って、今回も私の勝ちですかね」
A「それはどうでしょう」
B「む? そのガラスケースの中の宝石……」
A「さすが気づいたようね。ええ、これは偽物。あなたの目をあざむくためのね」
B「それをまんまと私の教えるとは……どういうつもりです?」
A「これ」
B「は?」
A「本物はここです」
B「待ちなさい。いや、そんな、嘘でしょう。あなた、何を考えているんですか?」
A「あなたは目標以外を傷つけないことを信条としてきた。さあ、どうしますか? 今、その信念を曲げますか?」
B「だからといって……そんな、こんなことのために……豊胸手術をなさったんですか?」
A「お待ちなさい。今、なんと言いました?」
B「ですから、あなた。宝石を挟めるだけの胸なんてなかったでしょう」
A「はあ? お待ちなさい! いつ、私がそんな手術など、というかありましたわ、胸!」
B「……(憐れむ目)」
A「おやめなさい! そのような目で私を見るのは」
B「しかし、大胆なことをなさる」
A「通り一辺倒ではあなたに逃げられてしまいますからね。さあ、どうしますか。宝が欲しくば、私の胸に手を入れなさい。そのときはあなたを殺しますけど
B「笑えませんね。しかし、その胸。いささか不自然ですね」
A「まさか、詰め物だとでも言いたいんですか」
B「いえ。はい」
A「なっ。煙幕……(咳き込む)、目くらましをしたところで、宝はここに」
B「いただきました」
A「なっ。いつからガラスケースの中身が本物だと気づいて」
B「ガラス玉に見えるように照明の当て方を工夫したようですが、無駄でしたね。その偽乳(にせちち)……おおかた何かこちらを無力化するものでも仕込んであるのでしょう」
A「よくわかりましたね。あなたが色欲に負けたとき、電撃をお見舞いする予定でしたが」
B「おお怖い。そんな仕掛けがあるところに、まさか本物はないだろうと踏みました」
A「それで、このまま逃げられるとお思いですか?」
B「ええ、はい」
A「なっ。窓から――ここ四階ですわよ!」
B「宝は確かにいただきました! 探偵どの」
A「くっ。ホワイトローズ。次はこうはいきませんわ……。胸、やっぱり小さいのかしら」

狙い

シリアスな感じで終わらないように、後半で台本の色が変わる。「殺しますけれど」という台詞でギャグに寄せるか、シリアスのままでいくか選べるようにした。ちなみに白バラの花言葉は「あなたにふさわしい」

やり方など

・探偵は怪盗に恋心を寄せている

・探偵は怪盗の正体に興味を持っている

・探偵は怪盗を殺したいほど憎んでいる

・怪盗は探偵に恋心を寄せている

・怪盗は実は探偵の成長を促すためにやっており、普段は探偵の付き人

・怪盗は探偵の兄(知っているのは怪盗側のみ)

 


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