「ねえ、お願いがあるんだけど。え? やだなあお小遣いの前借りじゃないよ。もー、疑り深いんだから。ところで、最近何か困ってることある? お風呂掃除とか、皿洗いとか、あ、肩とか凝ってない? え、ナニコレ? 換気扇? えー! なんでもないです。はいお小遣い欲しいです頑張ります」
初手で狙いを見破られたという不利状況からの巻き返しを図らないといけない状況。自分が提示した条件よりも面倒くさい換気扇掃除を結局引き受ける&当初の目論見を白状せざるを得なくなっているという、語り部側の負けでシーンが終了している。なので、パワーバランスの変化を演出するために途中の勢いや、自分はイケているという勘違いなどを盛り込んでいきたいところ。
「今度の誕生日ね、うん図書券も素敵なんだけど、実は欲しいものがあって。限定プロデュースのハンドバッグがちょうど私の誕生日と同じ日に出るの。八万円なんだけど。お願い! 成人式までもう誕生日プレゼントいらないから。ね? ね? 勝ってくれたら今年一年はずっといい子でいるよ、お願い」
成人式まで→今年一年と少しずつ条件が緩くなっている。「八万円」という告げるだけでリスキーな単語をどう伝えるかが演じどころ。前後の台詞は比較的勢いがつけやすい構造ではある。
「パパ。ネコ飼おうよ。そのうちな、ってもう百回くらい言ってるよ。ね、ちゃんとお世話するから。動物と過ごした方が情操教育上もいいってニュースで言ってたよ。家族が増えるって悪いことばっかじゃないよ。見て、この子の顔。わたしとおなじくらいかわいいでしょ? パパ。ネコ飼おうよ。お願い」
「パパ、わたしのこと好きだよね、という自信がある前提の台詞(=わたしとおなじでかわいいでしょ)。裏設定として「パパはママを失って家族を増やすことに躊躇いがある」というものを付与してみてると台詞の意味合いが変わってくる。
「わたしが欲しいものわかる? じゃあヒントね。一度しか奪えないものです。不正解だったら、わたしにちょうだい? あら、だいせいかい。そのとおり、おまえの命です。んー、じゃあ正解だったし奪うね。本当はおまえが差し出してくれるのを待ってたけど、もらえないものは仕方ないものね。奪うね?」
「差し上げます」という言葉が欲しいというキャラ設定。欲しい言葉が違ったという機微を表現したい。それを抜きにしてシンプルにただ台詞を楽しんでも。