「独裁者」(高圧的と怒り)

語り手・・・独裁者

聞き手・・・部下。政府高官。

(場面設定)

独裁者の執務室で。 


丁寧口調の独裁者

「おかしなことを言いますね。資金が足りないのなら、新たに徴収すればいいだけの話でしょう。民衆から不満が出る? その民衆とはどこにいるのです。私はこの国を強くするために、国の財産を正しく運用しているに過ぎません。金も民も、等しく国のものです。私の策定に文句を言う民など、この国にはいませんよ」

狙い

国と書いて「ワタシ」と読むようなニュアンスを滲ませたいところ。繰り返し出てくる「国」というワードをうまく使いたいが、あくまで「目の前の進言してきた部下に脅し(圧)をかけている場面」であることは理解しておきたい。


たのしいどくさいしゃ

「確かに、死傷者はゼロ、こちらの被害損失はなかったな。だが、一切の成果もゼロとは。笑わせくれる。まさか、私の部下がこうまでも無能揃いだったとはな。敵地に攻め込んで? 分が悪かったから、逃げ帰ってきました? 戦略的撤退、お見事。こんなに愉快な気分になったのは久しぶりだ。さて、今夜はパーティーを開かねばな。ああ、まったく楽しみだ」

狙い

パーティー=粛正。楽しい楽しいと口では言うが、ハラワタは煮えくり返っている、台詞と感情が一致していない台本。どこまでの比率で演技をするかがミソになる。

キレる独裁者

「なんということだ! 揃いも揃って、ここには無能しかいないのか? 諸君らには期待をしていた。ああ、とても期待をしていたとも。それを、裏切った。貴様らは。私を失望させたな。極東の島国には『ゴッドは三度まで許す』などという格言があるそうだが、よかったな、再就職先ではうまくやれそうだな、諸君らならば。連れて行け」

狙い

感情を直接表現した台詞、問いかけ(相手に対して行うのか、自問するのか)、「期待していた」という繰り返しの台詞、急に始まる話題転換(ゴッドは三度まで)、突如の祝福「よかったな」、二人称の変化(諸君ら→貴様ら→諸君ら)。怒りのボルテージが一本調子にならないように、如何様にも変化をつけやすい台本。また、最終の「連れて行け」は、喋る対象が変わるため、はっきりと差をつけたい。


猛り狂う独裁者

「統治国家の基本は、トップが揺るがないことです。支配と統率のためには、トップへの崇拝の気持ちと、少しの恐怖があればいい。信奉者には甘い蜜を、逆賊には粛正を。流れた血が、国家を綺麗にしてくれる。粛正、粛正、粛正。ああ、なんと甘美な響き、たまらない。今日は我が国が生まれなおす日、ハッピーバースデイです」

狙い

荘厳なクラシックをBGMにしたくなるタイプのキャラを目指しました。好きに演ればいいと思う。


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