「巫女さん」

(場面設定)

神社にて。

 


参拝客へ

「こんにちは。お参りですか? まずは右の手水舎でお清めなさってから、拝殿へお進みください。洗い方は、ひしゃくで水を掬って、左手、右手、それから左手で水を受けて、口を漱いでもう一度左手。最後にひしゃくを立てて、持ち手を流したらおしまいです。備え付けのタオルもありますので、よかったら使ってくださいね。それでは、あなたに神様の御神徳がありますように」

狙い

「教える人」や、リズム感を出せる台本。また、心遣いや、真心を込めた台詞を言うような善人のキャラクターとして、描いている。


神主へ

「ただいま戻りましたー。って、全然片付いてないじゃないですかー! 参道は神様の通り道だから落ち葉ひとつないように、常に綺麗を心がけておかないとダメだよ、って昔私に教えてくれたのは誰でしたっけ? もう。じゃあ、私が掃いてきますから、宮司さんはお守りの結び紐、昼までに百個お願いしますよ? えー、じゃありませんよ。もうすぐ受験生が押し寄せてきますからね?」

狙い

年上・目上に物怖じしないキャラクター。途中で、回想シーンのように宮司の物まねをする台詞も特徴的。「えー、じゃあ~」という台詞で緊張感をどこまで出すか遊べるようにした。「もうすぐ受験生が~」という台詞でも台本の色が変わる。


神前で

「御神殿に奉られる御身にかしこみかしこみもうす。天に恵み、地に繁栄、人に幸多からんことを願いて、今この者に降りかかる一切が、開き、日の光が差さんことを乞い奉る。……さ、終わりましたよ。よろしければ、社務所でお守りをいただいてからお帰りください。あなたに神様の御加護がありますように」

狙い

前半と後半で明らかに色の違う台本。どこまでギャップを出せるかを楽しむ台本。尚、祝詞については適当に考えてある。


オフ

「あの、困ります。私、これから神社に帰らないと。務めもありますし、やめて、やめてくださ……ごぉらぁ! やめろって言ってんでしょ?! 巫女は神職なのよ? 汚れるわけにはいかないの。はい、そこのアンタとアンタ! 顔は覚えたからね? 神罰……ぶち当たるわよ? わかったらとっとと、散りなさいこのバチ当たりども! ……ふう、怖かった」

狙い

最後の台詞はかわいこぶっても、地で怖がってもよい。神職が神さまを都合よく使うんかい! というところや、普段の巫女に対するイメージとの乖離でキャラクター性やコメディ性をとる台本。


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