語り手・・・道を教えている(優位性のある立場)
聞き手・・・迷い人
(補足)
道案内をしたくないという設定を付与すれば、焦りの演技などもできるため、載せる感情の枠が広い台本です。
「どうされましたか? ああそうですが、道に迷われましたか。このあたりは入り組んでいて地元の者でも迷いますからなあ。この分かれ道は右のほうに進んでください。赤い屋根の建物が見えてきますが、決して顔を上げずに素通りして、その次の次の角を左です。それは誰の家か、ですか? そこまでは教えられませんので、さ。道を急がれたほうがよいのでは?」
不気味さが同居したような雰囲気を狙っている台本。不気味さを醸すのは「赤屋根の前は俯いて通行」という謎ルールだが、「それは教えられない」と「先を急いだほうがよいのでは」の使い方で、建物のほうなのか、話している人物のほうが不気味なのかが変わる演じ分けができる設計。「次の次の角です」は言い方で遊べるに「角の」を重ねている。
「道案内だぁ? んー、ちょっと『きっかけ』があれば思い出しそうだが、へへへ、そうだそうだここの角を右に曲がるんだった。その先は、んーとどうだったかあ、おお、そうだそうだ左だ。ええと次の分かれ道が、お、話がわかるじゃねえか。3枚も弾んでもらったから教えてやるよ。目的地はこの角から左、右、左な。おっと睨むなよ、金貨3枚目で『思い出し間違い』に気づいたんだよ」
金貨を3枚もらうまでは嘘を教えているというキャラクター性の見える台本。「んー……」が金子(きんす)をねだる仕草だが、どこまで匂わせるか、直接的に寄せるかで演じ方が変わる。「3枚も弾んで〜」はネタばらしの台詞なので、明確な転換点である。
「おや、お困りの様子だね。どうやら迷子かな? 多いんだよね、迷子。大丈夫、ボクは慣れてるから。キミみたいな迷い人を何人も導いてきたプロ中のプロなんだ。ええーと、ここから大通りに出るまではここを右に進んで、次を右に行って、この辺はぐねぐねしてるけど、その次も右。右、右、右。覚えやすくていいでしょ。お礼はいいよ。もしまた出会うことがあれば助けてもらおうかな、なんてね」
右の右の右に曲がると現在地に戻ります。嫌な奴ですね。「なんてね」にすべてが懸かっている台本。前半は安心させるための甘言。このキャラクターが「再会時の援助」の現地を取ることを目的としているのか、時間稼ぎを目的としているかなど、目的のレベルを定める必要がある。
「迷子ですか? 道を教えて欲しい? ああっ、そうですか。実は私も迷子なんです。こんな場面でなければ私たちいいお友達になれたかもしれないのに。どうしましょう。そうだ、じゃあ私の方が迷子歴も長い先輩でしょうから、私がご案内しましょう。私が行ったのことない方向のほうが正解率が高いでしょうし。ふふふ、安心してください。私は3日前から迷ってますから、絶対私の勝ちですよ」