「おいガキ、通行の邪魔だ。座り込んでねえで公園にでも行ってな。おー、生意気な目だこと。オジサンはここの家主なの。わかる? キミが玄関の前に座ってたんじゃ中に入れないワケよ。あー、あくまでどきたくはないわけね。はーっわかった。じゃ、中に入れてやるから通してくれる? 冷凍食品買ってきてるからさ、あ、アイスクリームもあるよ」
なぜ少年が玄関の前に座り込んでいるか、少年と面識があるのか等を詰めたうえで演じたい。キャラとしては冷凍食品を買い込む生活感や、それが溶けるのを危惧する、公園で遊ぶことを推奨する点でより気温のある日中であることは読み取れる。暑さを感じる演技をしても。最後のアイスクリームは思い出しての思いつきか、あえてやさしさからの提案か。
「おいガキ、あそこ見えるか? おまえと同じくらいのガキがいるだろ。よし遊んでこい。どうした、元気よく走り出して行ってこい。ガキってのはガキと遊ぶように世の中できてんだよ。おまえだって同年代の友達くらい欲しいだろ。いらねえじゃねえ、社会ってのは人と群れて生きていくモンなんだよ。ああ、まあ、オレも含めてだろうけど、一回手を離そうな?」
前半のおちゃらけパートと対比するように後半はいいことを言うおっさん。台本的には「社会ってのは人と群れて〜」がテーマ性に触れる箇所で、「一回手を離そうな」が暗喩である。演技上ではなく脚本上立てるべき台詞である点に着目。
「おいガキ、一回言やあわかるよな? 帰れ。帰り道は間違えるなよ。お前がいるべき場所と、いるべきでない場所、分別くらいつくよな。もうガキじゃねえって散々言ってたが、お前はまだまだガキだよ。なあガキ。一回くらい言うこと聞いてくれや。お前の減らず口が聞けなくなるのはちと寂しいが、ガキ。元気でやれよ」
凄む台本だが、一番に立てやすい「帰れ」が冒頭にあるため、迫力を一本調子にならずどう出せるかの技量を問う台本。分別(ふんべつ)を「ぶんべつ」と読まないように注意。ガキという呼びかけに違う色の感情を乗せる必要がある点も難易度が高い。ガキは言うことを聞き、おっさんは言うことを聞けないという対比の構図である点もうまく意識したい。
「おいガキ、一丁前に格好つけやがって。手が震えてんじゃねえか。全部聞いたんだな。で? 真実を知った感想はどうだ? 銃口向けるほどに俺が憎いか。そうかそうか。覚悟があって銃向けてんだろ? 引けよ。引き金を引かなきゃ銃ってのは意味ねえんだぜ。ガキぃ。撃っちまったら、もうガキ扱いはできねえぞ」
おっさんが側の心理を考えたうえで臨みたい。撃たれたくない? 撃たれたい? ガキでいて欲しい? などなど。