「すみません、さっきこの店で商品を買った者なんですけれど。やっぱり要らなくなっちゃって。返品ってできますか? これが買ったやつで、こっちがレシートです。いやあ、洗剤を買ってこいって言われたから買ってみたら、食器用じゃなくて洗濯用のが欲しかったみたいで。いや台所が汚いからてっきりそっちだとばかり。そしたら洗濯物も山だったみたいで。え、返品は受け付けない? そんな。じゃあ交換とか。ダメ? えー、おんなじ洗剤でしょ。水に流してくださいよ」
誤魔化しているのか、恥ずかしさからなのか独白の多い構成の台本。商品とレシートを提示する「動作」をしっかり組み込みたい。生活環境が荒れている人物とつるんでいるキャラ=同じ穴の狢というキャラクター性の演出となっている。
「あのー、これ12個入りのやつ買ったはずなんですけど、中身、10個しか入ってないです。数が足りてないんじゃ意味ないんで返品してもらえますか? 裏から2個持ってきますとかじゃなくて12個入りのが欲しいんですよ。バラバラじゃなくてひと箱になっているやつ。あります? あるならそれと交換でいいですけど。ない? じゃ、返品おねがいします」
キャラクターの目的は「返品すること」ではなく「12個入りの商品を入手すること」であるが、行動として「返品」を主張している。その齟齬をどう解釈するかで演じ方が変わる。「返品すること」が目的でそのために「数が違う」主張をしている場合は素直に演技しやすい形。演じるうえでいつまでに使いたいのかや、代替手段を確保しているのかを詰めるとさらに深みが出る。
「注文していたやつと中身が違うんですけど。これ、他の人の商品と間違えてないですか? 気づかずに持って行ったコッチも悪かったですけど、予約していたやつと取り替えてくれます? 在庫がない? 間違えたのそっちですよね? こっちは三ヶ月前から予約してたんですよ。間違えて売った人から取り返してくださいよ。別に時間がかかってもいいんで、待ってますから」
自分と店側どちらにも非がある状態で均衡していたが、在庫がない事実により相手側の比重が重たくなったと思っている人物の、徐々にエスカレートしていく方式の台本。脚本的にはヘイトを集めるタイプのキャラの演出練習としても。こういうやつはあとからギャフンってなりがち。
「ちょっとぉ、コレ壊れてたんですけど。返品できますよね? 動かしてみようとしたら変な音と煙を立てて動きやしないんですよ。安くない買い物だってのにどうしてくれるんですか? 修理? いいです、もう返品します。最初から動いてないのに修理しても動くわけないじゃないですか。返品できるまでわたしはここから動きませんからね」
本当に壊れていた場合と、本当は壊した場合で演じ方が変わる今回のストレス発散枠。相手方に口を挟ませない勢いや、逆にじっとりねっとりした口調でも。商品と同じく動かないというのがオチにもなっている。